アパレル・ファッションECとは?トレンド・市場規模・利用者の傾向を解説
「ファッション系のECサイトを運営しているものの、なかなか売上が伸びない…」
「アパレル専門のECサイトには、どんな施策が効果的?」といったように、アパレル・ファッションECサイト運営の悩みや課題は山積みでしょう。
アパレル・ファッションECサイトを運営するには、利用者の消費行動を踏まえた施策を実施することが重要です。
しかし、ユーザーからの見え方やサイト上での行動を読み解くのは簡単ではありません。
そこで今回は、ECサイトの概要や近年のトレンド、サイトの種類といった基礎知識に加え、独自のアンケート結果から利用者の傾向を解説します。
アパレル・ファッションECとは?トレンドを解説
ECとはエレクトロニックコマース(Electronic Commerce)の略称で、衣類の販売に特化しているサイトをアパレルECサイトやファッションECサイトと呼びます。Amazonが百貨店だとすると、特化型のECは専門店のようなイメージです。
近年、アパレル・ファッションECサイトは急速に普及しており、利用者の数も右肩上がりの状況が続いています。
ここからは、アパレル・ファッションECサイトのトレンドをいくつか紹介します。
1.サステナブルファッションへの注目度が向上
近年のアパレル業界では、サステナブル(持続可能な)ファッションに注目が集まっています。
ファストファッションの台頭によって大量生産・大量消費が当たり前だったアパレル業界ですが、SDGsの普及に伴い、大手ブランドやメーカーもサステナブルファッションを取り入れ始めました。
例えば、古着や回収や環境に配慮した素材(アップサイクル生地など)の利用、廃棄を少なくするための受注生産などが、具体的な取り組みとして挙げられます。
アパレル・ファッションECサイト内にも、1つのジャンルとして表記していることがあります。
2.コロナ禍の影響によりオンラインの需要が飛躍
2020年から猛威を振るってきた新型コロナウイルスは、結果としてアパレル・ファッションECの利用者増につながる契機となっています。
外出自粛によりアパレル店舗には大きな打撃があったものの、ECサイト市場が飛躍的に拡大しました。
「外出できなくても服を購入したい」というユーザー動向の変化に伴い、現在ではECサイトでの服の購入はユーザーの選択肢の1つになっています。
3.アパレル・ファッションECサイトの市場規模は右肩上がり
アパレル・ファッションECサイトの2022年の市場は25,499(億円)となり、前年比5.02%増を記録するなど、その規模を拡大しています。
下降・横ばいともされるアパレル・ファッション業界において、右肩上がりの規模拡大を続けていることは、ECが急成長を続けていることの証拠でもあります。
出典:経済産業省「令和4年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」
4.最新のEC化率は20%超え(EC化率が進む見込み)
すべての商取引において、ECで行われた商取引の割合を「EC化率」と呼びます。
アパレル・ファッションECサイトの2022年時点でのEC化率は21.56%(参考:経済産業省「令和4年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」)であり、これは全産業の平均EC化率9.13%を大きく上回る数値です。
アパレル・ファッションECサイトを利用する利点に「自宅で気軽に服を探せる」というものがあり、現代のニーズに適しているため、今後もEC化の発展・成長していくことが予想されます。
アパレル・ファッションECの種類と事例
アパレル・ファッションECサイトは「モール型ECサイト」「メーカー・ブランド直販型ECサイト」の2種類に大別できます。
また、近年では個人間取引となる「CtoC型ECサイト」を利用する企業も増加しています。それぞれの特徴と具体例を紹介します。
1.モール型ECサイト
複数のブランドがひとつのサイトに集まり出店している形式を「モール型サイト」と呼びます。
有名ブランドと横並びで出店できるため集客もしやすく、自社でサイトを構築する手間もないのが大きなメリットです。
反面、競合ブランドも取り扱われているため競争が激しくなる、商品ページ等をカスタマイズする自由度が低いといったデメリットには注意が必要です。
モール型サイトの代表例としてはZOZOTOWNやRakuten Fashion、SHOP LISTなどが挙げられます。
2.メーカー・ブランド直販型ECサイト
ブランドやショップが独自に立ち上げ、自社商品を直接販売する形態のECサイトです。
売上データの収集がしやすいため販売戦略が立てやすくなるほか、サイト全体のカスタマイズも可能であり、ブランディングについても実施しやすいのがメリットです。
一方、サイトの構築・運用のコストや、ユーザー獲得のための時間がかかるといったデメリットもあります。
メーカー・ブランド直販型ECサイトでの成功例としては、UNIQLOやUNITED ARROWS、BEAMSなどの大手ブランドの公式サイトが挙げられます。
3.CtoC型ECサイト
CtoC型ECサイトとは、いわゆる個人間取引プラットフォームです。
近年では、フリマサイトやオークションサイトにショップが直接古着などの商品を出品するケースも増えています。
初期コストが安く、ECサイト制作に参入するハードルも低い点が大きなメリットです。一方で手数料の高さや在庫管理の煩雑さはデメリットになり得ます。
具体的には、メルカリやYahoo! オークションといったサイトが利用されています。
アパレル・ファッションECサイトを利用するユーザーの傾向
ECサイト運営における重要施策には、マーケティングやサイト改善などがあり、アパレル・ファッション分野であっても例外ではありません。
施策によって成果を上げるための材料はユーザーに関する情報です。
ここからは、「アパレル・ファッションECサイトで購入する方がどのように情報収集しているのか?」「何を決め手に購入しているのか?」などについて、以下の条件でアンケート調査した結果を紹介します。
調査期間:2023年2月28日~2023年3月7日
調査対象:ECサイトを利用したことのある18歳~90歳の男女1,206人
調査方法:インターネット
対象エリア:全国
1.SNSやYouTubeでの情報収集がメインに
「通販サイト以外でファッションに関する情報収集する方法は何がありますか?(複数回答)」の設問では、「TwitterやInstagramなどのSNS」と答えた方が22.8%で、「雑誌や書籍」と回答した方9.5%に対して2倍以上となりました。また、YouTubeなどの動画と答えた方も雑誌よりも多い結果となりました。
ファッション誌などの割合は少なく、インターネット経由で情報収集をする利用者が大半であることが分かります。
このことから、スタッフによるライブ配信やインフルエンサーの活用など、SNS・動画マーケティングによるECサイトへの流入施策が効果的だと分かります。
2.ECサイト内での情報収集も徹底している
「通販サイトでファッションを購入する場合、どの状態で購入することが多いですか?」という質問に対しては、「通販サイトでじっくり調べて回ってから購入」という方が80%近くを占めました。
利用者にとって、前項のSNSやYouTubeはあくまでも認知や興味関心を持つきっかけであり、実際の購入まで至るにはECサイト内でのリサーチが重要なのだと分かります。この結果を踏まえると、ブランド・ショップ側はECサイトまでアクセスした利用者に対し、商品情報を十分に提供することが売上アップのポイントになります。
3.ECサイトでは「商品の詳細と写真」がよく見られる
「ファッション通販サイトの商品ページで、最もじっくり見るところはどこですか?(複数回答)」という質問に対しては、「商品の特徴や詳細」と「商品写真」と回答した方はどちらも36~38%とほぼ同じ割合で上位を占めました。
実物を手に取って確認できないECだからこそ、できる限り情報を集めたいという利用者の心理が伝わってきます。
逆に言えば、詳細と写真が少ないアイテムはイメージがしにくく、購入をためらわせる原因になるため、売上に伸び悩んでいる場合には十分な情報が掲載されているかを今一度確認してみましょう。
4.購入の決め手は「商品の特徴と詳細」
「ファッション通販サイトで商品を購入する決め手はなんですか?」という質問に対しては、「商品の特徴や詳細」と回答した方が44.3%と最も多く、次に「いろんな角度で撮った複数の商品の写真」、「他の人のレビュー・口コミなど」が23%台で続きました。最終的には、アイテムの魅力や用途を踏まえて利用者が購入を決めていることが分かる結果です。
最後の一押しをするためにも、商品ページには明確な特徴やそれに関わる詳細を記載するようにしましょう。
5.ユーザーの8割がサイト内検索を利用
「ネット通販サイトで商品を検索する時、サイトにある検索窓からの検索を利用しますか?」という質問に対しては、「検索窓からの検索が中心」「まあ利用する」と回答した人が合わせて80.4%となりました。
検索窓を利用するタイミングは、欲しいものがある程度固まっており、購入意欲も高い状態と言われています。
販売機会を逃さないためにも、検索窓の設置場所や使いやすさといった点について確認し、必要に応じて改善するようにしましょう。
6.検索時のサジェスト機能は好評
サジェスト機能(検索窓に入力した文字に応じた候補を表示し検索性を高める機能)、に関する調査では、約70%が「使いやすい・便利だと思う」と回答、約50%が「サイトをまた利用したいと思う」と回答しました。
Google検索などでもおなじみのサジェスト機能ですが、ECでも使い勝手に大きな影響を与えることが分かります。
前項の設問からも、検索窓が利用者にとって欠かせないツールであることは明らかなため、使いやすいサジェスト機能はサイト全体のユーザビリティ向上における大きなポイントになるでしょう。
まとめ
コロナ禍をきっかけとしたアパレル業界のEC化は市場拡大とも連動しており、今後もインターネットユーザーが利用者となるケースは増えていくでしょう。
アンケート結果でも分かるとおり、検索窓使用時のサジェスト機能は売上を伸ばすための重要な要素になり得ます。
ユーザーのストレスを無くし、使いやすいアパレル・ファッションECに改善していくことで、売り上げに直結します。
sui-seiがご提供するリッチサジェストは、ECサイト内の検索を最適化するツールです。
アパレル・ファッションECの改善でお困りなら、ぜひsui-seiのリッチサジェストをご検討ください。